パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

きみが好きだった

きみが好きだった

きみが好きだった

友だちの恋人にひと目惚れした優等生のほろ苦い初恋と、十年後の再会。
「育ちがよくて真面目」という美点が恋したとたん、野暮ったく恥ずかしいものに思えてしまう。大人ぶってるあの子に追いつきたくて、背伸びする。早く大人になりたいなんていう願いそのものが、何より若さの証だというのに。
誰もが通ってきた焦燥のまっただなかにいる主人公がくすぐったくて、背筋がそわそわした。