パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

黄金の川岸―坂の上の魔法使い3

黄金の川岸―坂の上の魔法使い3 (H&C Comics  ihr HertZシリーズ 132)

黄金の川岸―坂の上の魔法使い3 (H&C Comics ihr HertZシリーズ 132)

「坂の上の魔法使い」堂々完結。
完結を祝してレーベルのサイトに著者インタビューが掲載されているのだが、途中打ち切りの危機もあったとのこと。やはりBLにおいてファンタジーって難しいのだな…。BLとしてもファンタジーとしてもすばらしい作品なので、多くの人に読んでもらいたいと切に願う。
無事物語を完結させてくれた明治さんと編集部に心から感謝したい。

私は「王と魔法使い」の組み合わせがとても好きだ。
王と魔法使いの物語とは、絶対に相容れない他者との出会いの物語だ。
両者の生きる世界は根本的に異なっていて、けして重なることはない。そういうふたりがともに生きるにはどうしたらいいのかともがき、理解できない他者を理解しようとし、同時に自分自身を知っていく。
いっしょにいることだけが、ともに生きることではない。
境界線の向こうにいる相手を知るために、自らも境界を越える覚悟。理解できないものを、理解しようとする意志。
そういうものこそが、私の思う希望なのだと思う。