パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

ふたりの秘密

ふたりの秘密 (ビーボーイコミックス)

ふたりの秘密 (ビーボーイコミックス)

宝井さんはどシリアスもトンチキコメディも描く作家さんだけど、個人的にはコメディが好み。美麗な絵柄とキャラクターの変人っぷりとのギャップが一層笑いを誘います。
この本はトンチキの方でした!ラッキー♪(喜ぶことでもないような…)

生まれも容姿も成績も文句なしのビジュアル系イケメン・歩の誰にも言えない悩み、じつは彼の下半身は○○だったのだ!(公序良俗に配慮し、伏字とさせていただきます。ご自由に妄想ください)
サッカー部部長の大沢(同じくイケメン)も同類だと確信した歩は、大沢の下半身を確かめるためようとあの手この手をつくすのだが、じつは大沢は立派すぎる息子がコンプレックス。大沢のおかげでミニサイズ疑惑まで発生し、歩はますますドツボにはまってしまう。
周りからみればくだらないことでも、歩本人は大真面目なところがおもしろい。受けなんだし、ちょっと足りないくらいがむしろかわいいんじゃないかな!

同時収録のバーを舞台にしたオムニバスも、ギャグからはじまりどシリアスで締めくくるジェットコースターのような展開。
彼氏のファッションセンスに悩むオシャレ男子の話があるのだが、これがまたすごい。
凡百の作家なら、毎日チェックのネルシャツとか、なんとなくオタクっぽいというお約束パターンに陥ってしまうところである。(というか、極端に奇をてらう必要もない…)しかし、宝井さんは違います!
この彼氏、普段着が羽飾りにポンチョにフリンジベスト(もちろん下は裸)という極度の民族衣装フェチなのだ。見た目はまさしく、アンデス山脈インディオ。現代日本に迷い込んだ少数民族にしか見えない。ここまで突き抜けるとむしろ確固としたポリシーを感じますね!
でたらめに変な恰好なんじゃなくて、現実にもありそうなところがツボにはまった。こういういきすぎたエスニックファッションのひとってきっといる。