パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

あづさゆみ

あづさゆみ

あづさゆみ

まるで姉弟のように育ってきた幼なじみのはるとなる。
寝ても覚めていっしょだったのに、中学生になって以来、なんだか周りが騒がしい。女の子たちのはるを見つめる視線にもやもやしていた矢先、はる自身にも「家族じゃない」と突き放され、なるはもう子どものままではいられないことを知る。
はやく大人になりたくて必死に背伸びして、想いが通じ合ってどこまで触れていいのかわからず照れあうばかりで。十代のころ絶えず感じていた、目に見えない焦燥感がありありとよみがえってきた。待ち受ける未来が大きすぎて、いつもぐらぐらしていたなあ。
かけがえのない時間を過ごしているなんて自覚もなく、本人たちはただ想い合うことに一生懸命で、それがいっそうまぶしく思える。
端整な絵で、揺れる14歳の心を丁寧に紡いだ一冊。あまずっぱさマックスの思春期。