パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

彼は死者の声を聞く

彼は死者の声を聞く (ショコラ文庫)

彼は死者の声を聞く (ショコラ文庫)

力作の名にふさわしい大長編。この分厚さだけで、読書家はたまらないでしょう。京極夏彦か!とつっこみたくなる頁数。
障害を持つ近親、才能への嫉妬、逃れられない罪の意識。重たいテーマががっつり盛り込まれているものの、スリリングな展開に頁を繰る手が止まらなかった。
作者の懺悔がこめられているためか後半やや切れ味を欠いた気もするけれど、やはり独特の世界観を持つ作家さんだ。