パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

王様と二人の料理人の話

王様と二人の料理人の話 (Holly NOVELS)

王様と二人の料理人の話 (Holly NOVELS)

Holly NOVELSからの新刊(当時…)ということで期待していた。
昼ドラテイストだったりハードボイルドだったり、得意のお仕事BL以外にも、変幻自在の作風を持つ鳩村さん。あとがきに「ホモセクシャルホモソーシャルの狭間」を書こうと思ったとあり、なるほど、こうきたか!と膝をうった。
戦場帰りのゲイの探偵、若くして隠居生活を送る男爵、男爵の忠実な執事。互いに特別な感情を交わしながらも、肉欲とは異なる部分で男たちはつながり合おうとする。崇高で、だからこそ隠微な関係に引きつけられた。
BLの定型にはあてはまらない話だけど、描かれているのは濃密な「男の絆」。鳩村さんじゃなきゃ、Hollyじゃなきゃ読めない物語を読めて満足。