パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

それはお前が童貞だからです

それはおまえが童貞だからです (幻冬舎ルチル文庫)

それはおまえが童貞だからです (幻冬舎ルチル文庫)

お久しぶりのコメディの凪良さん。
かつて初恋の相手に股間の「特殊事情」を揶揄されて以来、童貞を引きずったままの美貌のサラリーマン・二ノ宮。三十の誕生日を迎えた二ノ宮は、自分が奇妙な能力に目覚めたことに気づいてしまう、という「三十路童貞魔法使い」説をネタにした、ドタバタ超能力ラブコメ
いやー、今回もネタ満載でおもしろかった。
二ノ宮と再会した初恋の相手・世取は、かつての誤解を解くべく押して押して押しまくるんだけど…世取の無神経も、二ノ宮のツンデレも15年前のままだから、そううまくはいかない。落ちそうで落ちない駆け引きににやにやした。
世取の無神経っぷりたるや、おまえは下半身でものを考えてるのか!というレベル。でも、ここぞというところでは一途さをみせてくるもんだから、二ノ宮もついほだされてしまうんだよね。
世取念願の温泉での初夜に、あらゆる邪魔がはいりまくる「湯けむり探偵温泉事件簿 初夜のから騒ぎ」ではさらにドタバタがパワーアップ。美少年に、オールバックのヤ○ザ男、二時間サスペンスの帝王&女帝まで登場して、悪ノリすれすれのネタ祭り。魔性の美少年なんて、こんな機会でもなきゃ凪良さんはまず書かなさそうだよな〜。ある意味、貴重なものを読めたのかもしれない。
寸止めに次ぐ寸止めの末に、無事浴衣えっちにもたどり着けたし、めでたしめでたし。