パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

初恋は群青に溶ける

ひじを故障中、音楽室で知り合った不登校の留年生・吉岡に恋した野球少年のケンゴ。
吉岡がトラウマを抱えていることを知ったケンゴは、彼の笑顔を見たい一心で教室へと連れ出す。

キスも告白も手探りなふたりの純情っぷりに萌え。
たかだか高校生がひとりの人間を救うことなんかできなくて、ケンゴも何もできない自分に凹んで歯噛みして、それでも吉岡のために何ができるか考えている。なにでもできなくたって、そばにいるだけで力になることもある。等身大の自分でがんばるふたりがいとおしい。

イジメの現場を目の当たりにしたにしてはやけに客観的な先生や、とことん嫌な奴であるトラウマの原因・安藤が、ただの脇役にとどまらない存在感を放っていた。彼らのお話も読んでみたかったな。