パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

最期の恋

最期の恋 (ビーボーイコミックス)

最期の恋 (ビーボーイコミックス)

「もしあのとき、こうしていれば…」。
失ってしまった恋を、もう一度やり直したい。そんな切なる願いが奇跡を呼ぶ、ファンタジックな読み切り集。
余命宣告を受けた男が、高校時代に戻って初恋の相手に想いを伝えようとする表題作のほか、塾講師の男の前に教え子そっくりの亡霊男が現れる「冷たくて愛しい」、現代っ子が戦死した祖父の恋を負う「惜しむは君が命のみ」など。どれもシリアスなのに、たまに突拍子もないモノローグや台詞が飛び出すのが梅太郎さんの持ち味。
溺れながら、自分が死ねばあいつは泣くだろう…と想いを馳せる主人公が、「現代人はメンタル弱くてダメなんだよ」なんて一般論を持ち出したのに笑った。