パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

黒子のバスケ

完結巻。表紙の黒子の笑顔がすべてを物語っている。
黒子の疑似「天帝の眼」によるサポートを受け、赤司をふっとばしてダンクを決めた火神。それは、赤司がはじめて知る敗北だった。
黒子の疑似「天帝の眼」を解説する緑間が、どこかの彼らにそっくりな光と影のことを言ってるようにしか聞こえなくてにやけてしまう。すべてゆだねて、100%信頼するって、まんま自分と高尾くんが洛山戦でしてみせたことですよね。
動揺した赤司は、選手としての脆さを露呈する。立て続けのミス、彼らしくない緩慢なプレー。チームメイトたちからも糾弾され、このまま黒子たちの「敵」として倒される。そのはずだった。
ところが、追い込まれたことによって、かつて封じ込まれた本来の赤司が目を覚ます。ふたたび、息を吹き返した洛山。強烈なリーダーシップと、正確無比の試合運びによって、赤司は味方の潜在能力を限界まで引き出すことができる。本来の赤司のゾーン時の能力、それはチームメイトをゾーンの一歩手前の状態へ開花させること。この全員ゾーン状態には、さすがにちょっと笑ってしまった。全員の眼から何か出てるw異空間w
一方誠凛は、ついに火神のゾーンが限界に達し、ほかのメンバーたちもガス欠状態。万事休す―そう思った瞬間。コートに仲間たちからのエールが響き渡る。これはまさしく元気玉!!みんなが誠凛に元気を分けてくれた!そして火神は、この応援の声のなかでついにゾーンの第2の扉の開き方に気づく。第2の扉の前に立つ人物。それはおそろしい門番などではなく、いつも影で彼を支えてくれたいちばんの相棒・黒子だった。
一瞬のアイコンタクトだけで、仲間とゾーン状態の火神との動きを連動させる直結連動型ゾーン。もはや超能力的な超連携によって、誠凛は残り27秒で4点差まで詰め寄る。
ここからのひとりひとりがバトンをつなぐような逆転劇は、まさしく誠凛というチームの真骨頂。
緊迫するゲームの最終盤、逆転劇への口火を切ったのは、誰よりも冷静だった男・伊月。王者の矜持を逆手にとった読みで、見事なパスカット。誰よりも付き合いの長いチームメイトから、最高のパスをもらった日向は、一瞬の判断で4点プレーのバスカンを獲得する。あと2点とるためにはシュートをあえて外し、リバウンドを獲ることが必須。選手生命の危機も顧みず、木吉はセンターとしての仕事を全うしてみせた。
2年生たちが決死の覚悟でつないだバトン。最後はやはり、このチームの光と影に託された。最後の瞬間まで、影に徹した黒子。信じて跳んだ火神。震えるほどかっこうよかった!やっぱり光と影は、ふたりでひとつなんだな。
この勝利は終わりじゃなく、はじまりだっていうのは、黒バスだとほんとうにその通りだなと思える。中学時代からつづいていた呪縛を黒子はついに断ち切ることができたんだな。


漫画はあっけないくらいすっぱり終わってしまったので、アニメ版では各校の後日談も交えてじっくりエピローグを楽しめてうれしかった。黒子の誕生日に行われたキセキの世代とのストバスについても、DVD特典でアニメ化されるとのことで、すっごくたのしみ!なにもかも終わっていってさみしいな〜とロンリーな気持ちになっていたので、こちらとしても最高のプレゼントです!