パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

銀のスプーン 6-8

銀のスプーン(6) (KCデラックス Kiss)

銀のスプーン(6) (KCデラックス Kiss)

環とともに、かつて自分がいた施設を訪れた律。そこで両親の居場所を知った律は、はじめて自分を産んだひとに想いを馳せる。
理由はどうあれ、自分はいちど「捨てられた」と知ってしまったことが、こんなに律を苦しめていたんだな…とせつなかった。思慮深くやさしい人間であるがゆえに、最悪の想像をめぐらせては自分自身を縛ってしまう。それでも、母や兄弟たちの深い愛情が彼に一歩踏み出させた。
心を奮い立たせて訪ねた産みの母親の家。そこで出会ったのは母ではなく、ひとり置き去りにされていた小さな弟だった。残酷な現実を突きつけられながらも、健気に自分を慕うルカのため、律は自分に何ができるのか考え始める。
シリアスな展開の6巻だけど、いつもどおり明るく元気な早川家の家族たちとおいしいごはんのおかげで、やさしい気持ちに包まれて読める。夏祭りでの奏でのほのかな恋のエピソードや、後輩との関係に悩む調の物語も収録。弟妹たちもそれぞれに大人になってってるんだなあ、とたのもしい。


銀のスプーン(7) (KCデラックス Kiss)

銀のスプーン(7) (KCデラックス Kiss)

ひとりぼっちのルカを連れ出す口実に、律がひとりではじめた「おにいちゃんようちえん」。公園で遊んで、いっしょにお弁当を食べる。
どこの誰かもわからない相手に子どもを預けてしまえる母親の無関心は、どんな言葉より残酷に律の心をえぐった。誰にも相談できないまま、律はひとりルカの面倒をみる方法を模索する。
律は自分のことをほとんど話さないけど、周りのみんなはちゃんと、不器用な彼のことを見守っている。ひとり先走ろうとしている律に、あえて口を出した斉木。どんなときだって律の味方といってくれたお母さん。この漫画に出てくるのは、みんなほんとうに心やさしい人たちばかりだ。それを「あまい」という人もいるかもしれないけれど、私は、やさしい人がやさしいまま生きられる世の中っていいな、と思わずにいられない。
お母さんが偶然駅でルカを見つけたシーンに、胸が熱くなった。あの天使みたいな小さな律が、もう一度目の前に現れたんだもん。そりゃあ、放っておくことなんてできっこない。
ルカを守るため、ついに奏や調にも、真実を告げることを決めた律とお母さん。早川家の絆が強まってゆくいっぽうで、律と夕子ちゃんの恋路には暗雲が。
ふたりとも弱音や悩みを打ち明けられないタイプなのでもどかしい。しかも、奇しくも時はクリスマス(で、夕子ちゃんの誕生日!)。バイト三昧で音信不通なんて、さすがに夕子ちゃんも心が折れるだろう。でも、人生の一大事に悩む律のことも責められない。あぁ、どうなるんだ…!


銀のスプーン(8) (KCデラックス Kiss)

銀のスプーン(8) (KCデラックス Kiss)

家族みんなに歓迎されて、早川家の一員になったルカ。
みんなでいっしょに囲む食卓、おいしいごはん。庭に植えられたルカの木。毎日はひだまりのようにあたたかく過ぎていく。それでもふとした瞬間に、ルカはお母さんのことが恋しくなる。どんなに無関心でも、ルカにとってお母さんはひとりしかいない。産みの親の顔を知らずに育った律とはちがう。順調に滑り出した新生・早川家だけど、ルカが心に秘めてる想いだけが気にかかる。
そして、ルカのことがひと段落して、律と夕子ちゃんの関係にもついに進展が!斉木と若月がいい仕事しましたね〜。いつもはただの悪友だけど、いざとなれば頼りになる。斉木にもいつか、運命の恋人が現れるといいな!
七輪で焼く焼き鳥、すごくおいしそう〜。やってみたい。