パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

とんがらし

とんがらし (モーニング KC)

とんがらし (モーニング KC)

とんがらし、花言葉は「旧友」。
沖田と原田が中心の新撰組前夜譚。まだ彼らが何者でもなかったころ、江戸の試衛館でのにぎやかでのどかな日々を叙情性豊かに描いている。
北関東のヤンキーみたいな佐之助、腕はたつけどどこかとぼけている総司。ふたりとも、勝負と女の子が好きなどこにでもいる青年だ。
彼らがやがて、大きな時代のうねりにその身を投じることは、本書を手に取った読者にとっては織り込み済みのことだろう。だからこそ、このおだやかで他愛ない日々がいっそうまぶしく胸に迫る。