パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

gift 上 白い獣の、聞こえぬ声の、見えない温度の、

これおもしろかった〜!やはりゆまさんは男前受けで輝く。
愛を知らずに育ったうつくしい獣と、家族に性癖を打ち明けられずに悩むトレーナー。居場所を失いさまよっていた、ふたつの孤独な魂の邂逅。
脅迫まがいではじまった勁(けい)と宥(ゆたか)と関係はやがて熱をはらんでゆくのだが、まったく別の世界で生きてきたふたりが思い描く愛のかたちは、あまりにかけ離れている。宥が勁を尊重し、彼のしあわせを願うほど、勁は宥が自分から離れていくんじゃないかという不安にかられていく。
宥が勁に与えるものは、勁がかつて生きて抜くために自ら捨てた「バグ」でもある。手に入らないとあきらめて、ないことにしてきたもの。相手の求める役割を果たさなければ、自分に存在価値はないと信じている勁がせつないなぁ…。
はたして宥の想いは勁に伝わるのか。勁は失ったものを取り戻せるのか。下巻を正座待機。