パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

ふたりぼっちの食卓

ふたりぼっちの食卓 (キャラコミックス)

ふたりぼっちの食卓 (キャラコミックス)

家族の縁が薄く、ひとりで暮らすフリーターの夏生。ある日、道端で行き倒れていた啓介に食事を与えた夏生は、さみしさを埋め合うように啓介と体を重ねるようになる。
毎日食卓をともにするということは、家族になるいうこと。ひとりぼっちだった夏生と啓介も、いっしょに寝て起きて、ごはんをたべて、日々を重ねていくなかでだんだん「ふたり」になっていく。
身を灼く烈しさはなくとも、そのぶん静かに降り積もっていく時間が心地よい。
それにしても冷静に考えれば、食事と寝床を提供した礼を体で支払おうだなんて男は、ヤバい詐欺師かろくでなしのヒモ男でしかないだろう。BLでこうした「拾いもの」話が愛され続けるのは、良心には良心で応える、という古き良き「恩返し話」の系譜を受け継いでいるからなのだろうか。
そこまで恋愛に夢を見られない私としては、「いくら男同士だからって、もうちょっと警戒しろ!」という気持ちにもなったり。
同時収録の「さよならヒーロー」は素直になれない幼なじみたちの初恋物語