パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

スピンアウト 上・下

く〜!さすが「花盛りの庭」を描いた作家だ。
正しさややさしさからはほど遠い、不条理な愛しかないのに心惹かれてしまう。
苛烈に欲望をぶつけあったすえ、彼らはどこへもたどりつけなかったけど、この異常な執着もまた「恋」と呼ぶべきか。おかしいな、おかしいなと違和感を感じながら読んでいたら、「あっ」と気づいたころには奈落に落とされていた。このラストシーンはじつに秀逸。
惜しむらくは、余韻をふき飛ばすような能天気な読み切りが最後に収録されてしまったことだけだな!笑 まあ、がっつり上下巻でフルコースを堪能したあとの箸休めってことで。