パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

いびつな恋のシーソーゲーム

いびつな恋のシーソーゲーム (GUSH COMICS)

いびつな恋のシーソーゲーム (GUSH COMICS)

得意の変装で衆目をかいくぐり、予告どおりにお宝を手に入れる大泥棒・グレイを追う、がさつで無精者の刑事・小山内。ところが、グレイが狙ういちばんの獲物は、小山内自身だった!?「一回ヤらせてくれたら、返してあげる」なんて都合のいい言葉にからめとられ、捜査のうらでふたりはキケンな駆け引きを繰り広げる。
怪盗と刑事の組み合わせはBLの人気CPのひとつ。得体のしれない怪盗に振り回されながら懸命にその正体を探る刑事の追いかけっこが、疑似恋愛そのもので萌えます。
己の美学に忠実な自由人が多い怪盗のなかでも、グレイの奔放さはトップレベル。身バレの恐れなんかそっちのけで、盗品を餌に刑事を押し倒しにいくんだから、肝が据わっているというか、こわいもの知らずというか。笑
いったいグレイは何者だったのか。稀代の大泥棒?アパートのお隣さん?手癖が悪くてさみしがりやの高校生?最後まではぐらかされっぱなしだったけど、これもまた、小山内の心を惹きつけておくための彼の手管だったんだろう。
自分から正体を明かしたりはしないし、絶対主導権はゆずらない。知りたければ追いかけてくればいいといわんばかりのグレイも、これだけ振り回されておきながら「好きだ」なんていうものか!と息巻く小山内も、どっちもほんとにいい勝負。
最後まであまい雰囲気はないものの、こういう互いに譲らぬシーソーゲームもまた男同士ならでは。