パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

うせもの宿 1-3

うせもの宿 1 (フラワーコミックスアルファ)

うせもの宿 1 (フラワーコミックスアルファ)

うせもの宿 2 (フラワーコミックスアルファ)

うせもの宿 2 (フラワーコミックスアルファ)

うせもの宿 3 (フラワーコミックスアルファ)

うせもの宿 3 (フラワーコミックスアルファ)

失くしてしまったものが必ず見つかる「うせもの宿」。その宿には、さまざまな未練を抱える旅人たちが訪れる。
自らは何を失ったかも忘れたまま、旅人を送り出しつづける女将。けっして宿には踏み入ることなく、旅人だけを宿へと手引きし続ける男・マツウラ。そして、ただ笑顔ですべてを見守りつづける番頭さん。やがて物語は、女将自身が失った過去へと迫っていく。
失った記憶を取り戻すことで、旅人たちの抱える物語が180℃ちがってみえる構成の妙はさすが穂積さん。「さよならソルシエ」はそうしたどんでん返しこそが肝だったが、「うせもの宿」は思い切ったファンタジー設定を取り入れたことで、逆に普遍的な人間ドラマに仕上がっていた気がする。これまでになくベタな「泣ける話」に、ちょっとびっくり。