パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

ライラ・ペンション/ノーベル・マンション

両親が海外出張が決まり、口うるさいおばさんとの同居を回避するため、格安下宿の「ライラ・ペンション」を借りることにした高校生ののずちゃん。ドジでおっちょこちょいののずちゃんひとりじゃ心配だと、クールな策士・コウさんとしっかりもののザワシもいっしょに、親友3人暮らしがはじまった。
学生時代、漫画のなかの下宿暮らしに憧れていた。なんていったって友だちといっしょに暮らせたら、いち日中遊べるじゃないか!「ライラ・ペンション」での少女たちの生活は、当時夢見た共同生活そのもの。
お刺身を買ったのにしょうゆを買い忘れてわさびだけで食べたり、みんなこたつから出たくなくて来客応答に出るのにじゃんけんしたり、偵察に来るおばさんを撃退するために策をめぐらせたり。毎日バカをやりながら、失敗なんて笑い飛ばして貧乏暮らしを楽しんでいる。
女同士だけどべたべたしたところのない、気のおけない者同士の距離感が心地いい。
同時収録の「ノーベル・マンション」は、言語化不能なナンセンス・コメディ。このシュールなユーモアは坂田さんならでは。愉快痛快!