パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

その好きの行方

 

その好きの行方 (KARENコミックス)

その好きの行方 (KARENコミックス)

 

街外れの灯台には、袂の海に好きな人と撮った写真を流せば、ずっと一緒にいられるという言い伝えがある。

社会科教師の出雲は、写真だけが趣味の目立たないゲイ。灯台の美しい佇まいに惚れ込んで、赴任以来通いつめているのだが、いまだに好きな相手と写真を撮るような勇気は持てないまま。同僚のイケメン物理教員・室戸のことを、ただひっそりと想いつづけている。

ところが、卒業式も迫るある日、出雲は室戸から「オレの彼女になってください!!」という思わぬ申し込みを受ける。生徒たちからの告白除けとして、出雲は偽装彼女として、室戸と写真を撮ることなる。

わざわざ女装までさせて「付き合うふり」なんてリスクが高すぎるし、なんでこんな面倒な遠回りをする必要があるの?と不可解だったけれど、ふたりの抱えるものが明らかになっていくにつれ、この回り道もお互いを知るために必要なプロセスだったんだな、と思えた。

苦かったり、しょっぱかったり、すっぱかったり、あまかったり。いろんな「好き」が絡み合う、複雑なようでシンプルな愛の物語。