パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

狼は花の馨り 1

 

狼は花の馨り 1 (Dariaコミックス)

狼は花の馨り 1 (Dariaコミックス)

 

遠い昔、漆黒の狼と白い牝鹿が番となり、その子孫は狼とともに生きる民となった。

彼らはまれに生まれてくる白い髪の子どもを「白鹿」と呼び、白鹿は王族の番となって一族に繁栄をもたらしてきた。

孤児院で育った兵士・イルウェスは、田舎の村で土蔵に幽閉されて育ったみすぼらしい白鹿の少年を見つける。しゃべることもできない少年にアルタという名前を与え、面倒を見るうちにアルタはすっかりイルウェスになついてしまうが、白鹿は王族と番うのが掟。アルタの幸せを思い、手を放そうとするイルウェスだが、ひたむきに自分を慕うアルタの純真さに決意がゆらいでいく。

汚れた大人にはまぶしいくらいの純愛BL。アルタが精神年齢5歳くらいなので、濡れ場はもちろん、キスシーンすらございません。

それでも、心が幼い分、アルタの愛情表現はとても素直で全力。イルが大好き~~~って気持ちが全身から発散されている感じ。恋心というよりも、懸命に親を追いかける雛鳥のようでもあり、その必死さが彼の不安や孤独のあらわれなんだろうなって思えて切なくなってしまう。

いろいろ拗らせてる風なアルタの番・トグト王子が気になるなぁ。なんでこんなにひねくれちゃったんだか、過去になにかありそうな気しかしない。