新興華族の子息である麻倉は、幼い頃、たったひとりの味方だった幼なじみの立花と旧制高校の寮で同室になる。かつて彼の逸脱を覗き見てしまった麻倉にとって、それは複雑な再会だった。
心ひそやかに麻倉を想いつづけていた立花と、思わぬ告白に戸惑う麻倉。
鳥かごの中の青春時代、あるべき理想の姿と真実求めるものとの間で、ビー玉みたいな少年たちの心は、ぶつかり合ってはちりちりと音を鳴らす。
江戸の名残と近代の夜明けがまじりあった大正時代は、やはり魅力的な時代だなぁと再確認。ストームや大震災、遊郭など、この時代にしかない風物満載でわくわくした。