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パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

昭和元禄落語心中 8

昭和元禄落語心中(8) (KCx)

昭和元禄落語心中(8) (KCx)

高座で意識を失い、九死に一生を得た八雲師匠。落語界の伝統そのものである八雲師匠の「死」が間近に迫っていることを突き付けられ、与太郎と彼のご贔屓筋である作家の樋口は、八雲と助六の過去を知るべく、ふたりが最後にともに過ごした四国へと旅立つ。
八雲師匠の回想のなかで、再会したみよ吉の誘惑に菊比古が応えてしまう場面にだけどうにも違和感があったのだけど、そうか、こういうことだったのか。く〜、八雲師匠にまんまと騙されていたのは、小夏や与太郎だけじゃなかったってことか。
八雲は小夏が失った過去を抱え、与太郎は八雲が封じた過去を抱え。それぞれに言葉にはできない過去があることを知りながら、黙って寄り添い合う三人なりの「家族」の関係にたまらなくぐっとくる。いわゆる愛や恋に比べれば、ずっとひねくれていて歪かもしれないけど、これもまた互いを想う情にちがいない。