パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

ひきだしにテラリウム

ひきだしにテラリウム

ひきだしにテラリウム

ふわ〜〜〜!これはすごいっ!!すばらしい!
奇想に満ちたアイデアや、あたらしいのに懐かしいストーリー、端整でありながらデフォルメも自在な親しみやすい絵柄。どこをとっても漫画偏差値の高い作品。
しかし、なんといっても凄いのは「これは漫画じゃなきゃできない」と思える漫画表現の豊穣さが、みっしり詰まっているところ。
少女漫画に少年漫画、手塚や石森といった巨匠たち、劇画にエッセイ漫画にショートショート…日本にはこんなにも多種多様な漫画があり、宇宙の果てからきょうの朝ごはんに至るまで、ありとあらゆるよろこびとかなしみを一枚の紙のうえに表現してきたんだな…ということを、あらためて実感させられた。
じつにささやかな日常をうつしとった短編集でありながら、作者の漫画への愛に心打たれる一冊。