パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

あとかたの街 1

あとかたの街(1) (KCデラックス BE LOVE)

あとかたの街(1) (KCデラックス BE LOVE)

12歳の少女の日常をとおして戦争を描き出す、等身大の名古屋空襲。
滅多に食べられない卵焼きに大喜びしたり、国民服をかわいくアレンジしたり、女学生のお姉さんたちに憧れたり。たとえ戦時中であっても、少女たちが心を躍らせるものはいまとなんら変わらないんだということに、たまらなく胸を締めつけられる瞬間がある。
当たり前のことが、当たり前にではなくなっていった時代。私たちには遠い昔のことのように思えるけれど、その過去はいまもかつて少女だった方たちの胸のなかにある…。
そういう人たちと同じ時代に生きている以上、私たちには知る義務があり、伝えていく使命がある。とつとつと日常を描いた漫画であるにも関わらず、いまこの漫画を描くということに作者の強い想いを感じる。