パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

萌えの死角 1

萌えの死角 (ニチブンコミックス)

萌えの死角 (ニチブンコミックス)

今市子の萌えエッセイ漫画。
今さんは二次創作を一切通っていないらしく、純然たる24年組の信奉者として漫画を描き始めたようだ。それゆえに、往々にして一般的な腐女子の「萌えツボ」は今さんにとっては「死角」にあたる。たとえ同じ穴の狢であったとしても、萌えは千差万別だ。思いもよらぬ他人の萌えにたまげつつも、おっかなびっくり食指を伸ばしてしまう姿は、おかしくも深く共感できる。そこに萌えがあるならば、手をださずにいられないよね…。
今さんはBLカンブリア紀以前の、読むものもろくに手に入らぬ苦難の時代を知る方なので、「草の花」や森茉莉、「トーマの心臓」はじめ、BLのご先祖様たちが多数紹介されているところも魅力。なにもかもがあけすけで明快な飽食の世に生まれた者にとって、この本に紹介されている数々の古典が放つ「禁断のかほり」はくるおしいほどに芳しく思えるのでした。

あきるまで話そうよ

あきるまで話そうよ (バンブーコミックス 麗人セレクションDX)

あきるまで話そうよ (バンブーコミックス 麗人セレクションDX)

高校生中心の再録集。
内田さんの描く男の子たちはみんな悪ガキだ。部活に早弁、屋上でサボり。喋り方にも、仲間どうしならではのぞんざいなきさくさがある。寄り集まっては悪巧みする、女子にはない連帯感が小気味いい。

新進脚本家は失踪中

新進脚本家は失踪中 (キャラ文庫)

新進脚本家は失踪中 (キャラ文庫)

愛することに飢えた男と愛されることに飢えた青年の、奇妙に穏やかな共同生活。
甲斐性のある色男と、迷子の子どもみたいな青年の組み合わせは水無月さんの真骨頂。とてもおもしろかった。