パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

水曜日の悪夢 / 金曜日の凶夢

水曜日の悪夢 (ガッシュ文庫)

水曜日の悪夢 (ガッシュ文庫)

金曜日の凶夢 (ガッシュ文庫)

金曜日の凶夢 (ガッシュ文庫)

これは2冊続けて読んでよかった。いうなれば、水曜日が「Q」で金曜日が「A」。表紙同様、見事な表裏一体の構造になっている。
事故で演奏活動を断念した天才ヴァイオリニストの再生の道のりであり、失われた才能の幻影に囚われたもう一人の天才の解放であり、孤独な少年が生きる意味を与えられる物語でもある。それぞれが失ったはずのものを取り戻す過程が、ちょっと想像つかないもので「こうくるかあぁ!」と思わず膝を打ってしまった。
音楽と不思議現象以外のものは眼中に入っていない変人・紀ノ川氏が非常にツボった。破天荒な変人が、内心では一途な片想いに身を焦がしているっていいなあ。不器用萌え。