エマ 1-3
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これはすばらしい。ぱらぱらめくって読み返しては、ため息ついてしまう。
上流階級の嫡男と身寄りのないメイドの身分違いの恋。
こてこてのメロドラマでありながら、陳腐さはまったく感じさせない。計算しつくされたネームとしっかり練られたセリフ回し、素朴ながらも細部までしっかり書き込まれた画面は、まるで上質な映画を見ているよう。ロンドンの街のざわめきすら、紙面から聞こえてくる気がする。
メイドであるエマにとっては、私たちがルーチンとしてこなしていることが「仕事」だ。
床を磨くとか、ベッドメイクするとか、お茶をいれるとか。日々の営みのひとつひとつに丁寧に向き合って生きることの「うつくしさ」がこの作品には宿っている。だからエマが階段の手すりを磨いているだけで、さまざまなドラマを感じとることができるんだろう。うっとり。