パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

愛っていくらだ、おいしいかい

愛っていくらだ、おいしいかい (ジュネノベルズ)

愛っていくらだ、おいしいかい (ジュネノベルズ)

再読。
学歴偏重の理不尽を、実力で見返そうと激務に耐える専門卒総合職。大手企業の中堅社員として何不自由暮らしを手にいれながらも、食うために働き、働くために食うだけの毎日に意味を見失いかけている鬱予備軍。不況の人員整理でリストラされ、25社をあたるもなお再就職のめどが立たない25歳。
「リーマンもの」だなんて軽い言葉でよぶのがはばかられるほど深刻な身の上にある会社員が勢ぞろいしていて、なんだか身につまされてしまう企業戦士BL二本立て。
もちろん、BLなので最後は愛の力で円満解決。職場と家を往復してるだけの地味なお話なのだけど、朝食のついでにお仏壇にお供えをあげたり、限られた食費でおつまみのチーズを買うかどうか苦悩する…といった所帯じみた描写に妙にリアリティがあってお気に入りの作品。