パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

ねにもつタイプ

ねにもつタイプ (ちくま文庫)

ねにもつタイプ (ちくま文庫)

「読んでもい1ミクロンの役にも立たず、教養もいっさい増えないこと請け合い」の、妄想エッセイ集。
目玉の動きに合わせてダンスする泡粒と毛埃のようなものを目で追う「目玉遊び」、街なかに突然できた巨大な穴をめぐる星新一風の掌編「リスボン路面電車」、自分を動物に喩えるなら「毒入りエサを運ぼうともせずいつまでも誘因ゼリーをチュウチュウ吸っているアリ」と答える準備ができている旨を表明する「ゴンズイ玉」。
「ああ、わかるわかる」なんてシンパシー満載で読んでいるうちに、見たこともない時空の隙間に連れ込まれてゆく。


どのエッセイも最後の一文がじつに秀逸。私もこんなふうに書けたらなあ…!