パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

ハルカせんせいと絵本の中の王子

ハルカせんせいと絵本の中の王子 (ダリア文庫)

ハルカせんせいと絵本の中の王子 (ダリア文庫)

にぐんさんのトンチキファンタジーキター!!
無愛想でいつも不機嫌そうな三白眼。女受けは0の見た目とはうらはらに、子ども好きな晴夏は幼稚園で働く保父さん。いつものように誰からも相手にされなかった合コンの帰り道、晴夏は白馬に乗った金髪の王子に「僕が君の運命の人だよ」と告げられる。とっさに逃げ出した晴夏だが、なんと彼は変質者でもストーカーでもなく、晴夏の描いた絵本から抜け出してきたほんものの王子だった。
王子が囁く愛の言葉が、いかにも王子様らしくておもしろい。

「きみはきっとたくさん微笑んだんだろうね。だからそんなに目尻が垂れ下がっているんだ。それにほら髪だって、君という天使を天国に連れ戻そうと、必死に空に向かっているじゃないか。鼻がそんなにぺちゃんこなのも、きっと皆から鼻の頭にキスをされ続けたせいだね」

単なるたれ目と寝癖と鼻ぺちゃをもってして、この褒め称えよう。何かひとつ問いかけるたび、この仰々しい美辞麗句で三倍返しされてしまい、晴夏もだんだん王子の情熱にほだされていく。
王子は物語の住人なので最後には本のなかへと帰っていくのだけど、おとぎ話らしく、最後はちゃんとハッピーエンド。お姫様・晴夏の花嫁プレイもあります。