パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

黒子のバスケ 29

最終回までカウントダウン。ほんとに終わっちゃうんだなあ。
どのページにも渾身の絵が入っていて、手に汗握る。勝負の行方が楽しみ!

小金井先輩が、もてるすべてでつかんだ「虚空」のからくり。身長差によって攻略こそできなかったが、貴重な反撃の糸口は、4ファールの日向にたくされた。
この決勝戦、誠凛は文字通りの総力戦。ベンチメンバーもふくめ、全員がきっちりベストを尽くしているところに藤巻先生の心意気を感じます。力及ばずにベンチにさがった小金井先輩の涙。黙って(いつも黙ってますが…)タオルをかけてあげた水戸部先輩の想い。控えメンバーたちもいっしょに戦っているんだってことが伝わってきた。このふたりの友情はほんとうに泣かせるぜ…。
こうして本気を託された以上、日向もビビってるわけにはいかない。第4Q開始直後の3Pシュートを決め、反撃ののろしを上げる。ワンオンワンでとことん目の前の相手とやり合う誠凛の圧に、徐々に洛山も押され始める。
点差10点まで詰めた誠凛。しかし、ふがいないチームメイトに失望し、仲間を見限った赤司がついに彼のゾーンを解き放つ。ゾーン状態の赤司は「天帝の眼」によって、たったひとりでDF・OFともに網羅するコートの支配者。
火神はなんとかしてゾーンの第二の扉を開こうとするが、その扉はすがる者のまえには開かない。そんな火神に黒子は、自分が赤司と火神の差を埋める「眼」になるという。
回想に挟まれる、部活後の火神と黒子のやりとりがいい。正反対のふたりだけど、お互いに努力を惜しまずにここまできたことを知っているから、芯からリスペクトして、信頼し合えるんだな。
築き上げてきたつよい信頼をもとに、仲間の未来を視る黒子だけの疑似的「天帝の眼」。この技ひとつに、これまでの黒バスのすべてがこめられている。ひとりでは勝てない黒子だからこそなしえた必殺技だ。