パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

2年3組の面々

2年3組の面々 (バーズコミックス ルチルコレクション)

2年3組の面々 (バーズコミックス ルチルコレクション)

三崎さんの漫画は、仕事の丁寧な工芸品みたい。細やかでよく練られているのに、あくまでさりげなくすっと心に入ってくる。
悩みなんてなさそうに見えて、じつは心にちいさな棘を抱えた少年たちの群像劇。物語が重なるほどに、脇役だった子が主人公になり、秘められた心のひだが明らかになり、はじめ予想したのとはまったくちがうところへと連れて行かれていた。これぞ物語を読む醍醐味。
好青年・瀬尾の屈折っぷりがツボ。