男の子と恋

男の子と恋 (IDコミックス gateauコミックス)

幼馴染みの保に好きだと告げられた巡。小さいころからかわいいものが好きで、少女趣味をバカにされてきた巡にとって「ふつうじゃない」ことは何よりこわいこと。誰より大切な友だちを失うことが怖くて、巡は保の告白を冗談にしてしまう。
とにもかくにも漫画がうまい。演出力が逸品だ。80年代少女漫画とか、青年誌とか、オタ向けアニメとか、ありとあらゆる漫画表現を見事に自分の表現に還元してるなあと感心する。そして、相変わらず感情表現が見事。笑顔とか涙には、どんな愛のことばもかなわないパワーと説得力がある。ごくごくプレーンなラブストーリーも、見せ方次第でこんなにドラマティックになるもんなんだなあ。
いい人しかでてこない、やさしい世界の物語。ちょっと綺麗すぎるかもしれないけど、現実はつらいことばかりなのだから、せめて物語の中ではうつくしい夢をみたい。