家庭の事情で襲われてます
親の再婚で成人してからできた義兄(受け)に乗っかられる、真面目リーマンの義弟なんて、読むまでもなく最高です!読んでもちろん、最高でした!!
徹頭徹尾、奏さんに振り回されっぱなしだったユーマの最後の反撃にときめいた~~~。何があっても余裕綽々な奏さんの照れ顔の破壊力たるや。
BLパートだけじゃなく、ドタバタホームドラマとしてもおもしろかった。ラブラブになったふたりのその後ももっと読みたかった…!
三月さんの漫画はどれもがっつり設定つくりこんであるので、1冊で終わってしまうのが惜しい。
その好きの行方
街外れの灯台には、袂の海に好きな人と撮った写真を流せば、ずっと一緒にいられるという言い伝えがある。
社会科教師の出雲は、写真だけが趣味の目立たないゲイ。灯台の美しい佇まいに惚れ込んで、赴任以来通いつめているのだが、いまだに好きな相手と写真を撮るような勇気は持てないまま。同僚のイケメン物理教員・室戸のことを、ただひっそりと想いつづけている。
ところが、卒業式も迫るある日、出雲は室戸から「オレの彼女になってください!!」という思わぬ申し込みを受ける。生徒たちからの告白除けとして、出雲は偽装彼女として、室戸と写真を撮ることなる。
わざわざ女装までさせて「付き合うふり」なんてリスクが高すぎるし、なんでこんな面倒な遠回りをする必要があるの?と不可解だったけれど、ふたりの抱えるものが明らかになっていくにつれ、この回り道もお互いを知るために必要なプロセスだったんだな、と思えた。
苦かったり、しょっぱかったり、すっぱかったり、あまかったり。いろんな「好き」が絡み合う、複雑なようでシンプルな愛の物語。
ひだまりが聴こえる -幸福論-
祝☆続刊。
正直にいうと、幸せになることを、幸せになるために努力することを恐れない太一がまぶしくて、それと同じくらい胸が苦しい。
常識や正論を蓑にして、努力することから逃げている自分を晒されるようで。太一が当たり前に見ている世界は、私にはすでに見えない世界なんだなぁ。
でも、そういう気持ちになるのも、「心を動かされる」ってことだろうから。
いつもやかましいくらい元気な太一が、恋人っぽい雰囲気になったときだけは、ひっそり静まってしまうのがかわいい。次の本では、もっと恋人っぽいラブなふたりも見れるかな。たのしみ。
累る -kasaneru-
凪良ゆうの小説は、いつだってあたらしい。
BL小説は漫画以上に多産傾向なうえに、BL特有の様式美などもあり、書きつづければどうしたって内容が似通ってくるもの。(もちろん、お約束とは王道に通じる道であり、BLにおいて「ベタ」はいくらでも美点になりえるので、それが必ずしも悪ではないのだが。)そんななかで、凪良さんはつねにあたらしい何かにチャレンジし続けている。
この向上心とサービス精神こそが、人気の理由なんだろうな。
今作もこれまでにはない新境地。過去と現在が交錯するホラーBLである。
山間の集落の村はずれのお堂のなかで、夜ごと繰り返される淫靡な宴…といえば、夜光さんや沙野さんあたりが得意とするジャンルという印象だったので、凪良さんってこんな引き出しももってるんだな~と興味深く読んだ。
ちはやふる 31-32
瑞沢高校かるた部の三年生にとって、最後の夏。
太一不在のまま、最後の団体戦を迎えた千早たち。懸命に「部長」であろう、みんなのための自分であろうとする千早が、たのもしくて、なんともせつない。
これまで太一が背負ってくれていた役割まで、千早はぜんぶ自分が果たそうとしてたんだな。たとえそこにいなくても、ずっといっしょだった。
最後の戦いにたいせつな仲間がいないのはすごくさみしかったけど、「ちはやふる」はかるたの奥にあるひとりひとりの「人生の戦い」を描く漫画だ。
部活のあとにも、人生はつづいていく。そして、その後の人生のほうがずっとずっと長いのだ。
掴みたい「未来」のために、太一も千早たちも、自分にできる限りのことをやろうとした。この日の選択はいつか彼らの人生の糧となり、実を結ぶはず。
その証拠に、みんなが自分の行くべき道を掴み始めている。
成長って、ひとにとっての希望そのものですね。彼らを見ていると、心からそう思う。
放課後はいつもふたり
背中までそばかすがあったり、あばらが浮いていたり、褐色だったり。理想化されすぎない、その人だけの個性のある身体にエロスを感じる。
基本的にやってるだけのエロ漫画ではあるものの、トイレの個室や研究室の床、大自然の空の下まで、思い立ったが吉日といわんがばかりの豊富なシチュエーションが揃っており、最後まで飽きずに読めた。
ポルノグラファー
純情な大学生が大人の色気漂う小説家とふたりきりの部屋で、先生が読み上げる官能小説の代筆を行う。
いったいどこの官能小説だよ!!とツッコミたくなるほどに、王道をゆく浪漫ポルノBL。しかし、気品と翳りを孕んだ新人離れした画力と、暴走する若者の妄想のミスマッチがおもしろく、まったく古臭さを感じさせない。
またまたおもしろい作家さんが出て来ましたね~!