パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

家賃

家賃 (ディアプラス文庫)

家賃 (ディアプラス文庫)

この本なぜだか「月村さんにしては…」みたいな感想ばかりにあたって、ずるずる読みあぐねていた。
でも結局のところ物語の良し悪しって絶対的なものでなく個人の主観でしかないし、読まなければ何も分からないということを最近噛み締めたので、心をさらにして手に取る。
おもしろいじゃーん!
たしかに登場人物がそろってひねくれているので、月村さんの持ち味といえる瑞々しく繊細な心理描写は潜みがちかとも思う。けど、こういう不恰好な恋愛も私は好きだな。
誰かの感想を知ることは、一人で読むだけの何倍も自分の世界を拡げてくれる。他人の感想を自分の怠慢の言い訳にしたらいかんな。あくまで本を読むというのは主体的な行為で、本と私の一対一だ。読んではじめて物語の世界は現れる。

これで月村さんの既刊は全部読んだ…かな?