パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

寡黙な珈琲 臆病な胡桃

寡黙な珈琲 臆病な胡桃 (ショコラコミックス)

寡黙な珈琲 臆病な胡桃 (ショコラコミックス)

表紙とタイトルにひとめぼれして買ったのだけど、これが大当たり。
寡黙な髭の喫茶店マスター・高市に告白され、付き合うことになった在宅プログラマー・億也。引きこもりで対人恐怖症気味の億也にとって、高市との恋愛はすべてが戸惑いの連続。触れられることを怖がる動物のような億也を理解し、さりげなく支えてくれる高市に、億也はどんどん惹かれてゆく。ゆっくりじっくり想いを育んでゆく、大人の初恋物語
ふたりとも不器用で、いい歳した大人のくせして、目が合っただけで真っ赤になってしまうという純情ぶり。目を見て、名前を呼んで、手をつないで、そんなささやかなひとつひとつが、億也にとっては大事件。キスにすらなかなかたどり着けない。
いまどき中学生でももっとサクサク進展してるだろうという鈍臭さなんだけど、それがいいのだ。もどかしくてじれったくてかわいい…!
素材は悪くないのに、モサっと感の抜けないふたりの野暮ったさがまたツボ。いかにもどこにでもいる市井の人という雰囲気がほほえましい。