パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

やさしいエピローグ

やさしいエピローグ (バーズコミックス ルチルコレクション)

やさしいエピローグ (バーズコミックス ルチルコレクション)

怖がりで恋には乙女な元ヤクザの総長・野島と、野島を恩人と慕う給食のお兄さん・直也のスローライフ&スローラブ。
あいかわらず、メインのふたりはこの世の常識をどこかに置き忘れてきてしまったかのような、浮世離れなひとたち。モチメ子さんの漫画は、ましろワールドを彷彿とさせる…。
好きよ嫌よですったもんだするまえに、男同士とかヤクザだったとか、もっとべつのところで思い悩むことがあんだろ!!とか突っ込んでも、このひとたちはきっと聞く耳もたないだろう。そのうち突っ込みつかれてこっちも、「そうだよな。こまかいこといちいち気にしても仕方ないよな」と、奇妙に穏やかな気持ちになってくる。
あれ、もしかしてここが涅槃なの…?(ちがいます)
ある意味これも癒し系なのだろうか。
うかれぽんちな野島と直也に振り回される野島の舎弟たち、中野と津久井が私のぶんも野島に突っ込んでくれたので満足だ。津久井が元妻とスカイプしているシーンに思わず吹き出した。芸が細かい!
脇役たちに注がれる、モチメ子さんのサディスティックな愛情が大好きです。