パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

長靴をはいた黒猫

長靴をはいた黒猫 (二見シャレード文庫)

長靴をはいた黒猫 (二見シャレード文庫)

レストランを舞台にした物語といえば、三谷幸喜脚本の人気ドラマ「王様のレストラン」や佐々木倫子の「Heaven?」が思い浮かぶ。食事というひとつの目的のもとにさまざまな人が集うレストランは、群像劇を描くにはこのうえない舞台。
BLにもそうしたレストランものの流れを汲む作品がいくつかある。
なかでも高遠琉加「愛と混乱のレストラン」シリーズ、たけうちりうと「優しくて冷たい果実」は、私の心の「王様のレストラン」に認定されている名シリーズ。
個性的なキャラクター、波乱万丈のストーリー、読んでいるだけでお腹が空きそうな美味しそうな料理。プライドをかけて働く男たちの一筋縄ではいかない恋模様は当然萌えまくりで、ご馳走と呼ぶにふさわしい逸品。
この「長靴をはいた猫」の舞台である「黒猫亭」も、また素敵なレストランだった。
ワケアリな美貌のオーナー・黒猫と、黒猫にぞっこんなヘタレシェフ・鷹嶋の不器用な恋を、謎めいた黒猫のパトロン氏や料理バカのスーシェフ、お坊ちゃん育ちのギャルソンくんが彩り豊かに盛り上げてくれる。
私の心の「王様のレストラン」がまたひとつ増えました。