ベルセルク 1-6
- 作者: 三浦建太郎
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「この麗しい銀髪男子は誰!?こんな美人が登場する漫画だったなんて!しかも見るからに隣の無骨な戦士とライバル臭を漂わせている…貴族的で高潔な騎士と、腕っ節だけで生き抜いてきた荒くれ者(見た目から妄想)…命をかけた戦場で強い信頼関係で結ばれたふたり(さらに妄想)…」
たちまちライバル萌え魂に火がつきました。
早速6巻まで手に入れて読んでみたのだけど、まず非常にダークな世界観に驚かされた。
主人公のガッツは、ちっとも正義の味方じゃない。なんせ1巻のしょっぱなから、堂々と女に化けた魔物とまぐわっているのだ。並大抵の男ではない。
呪いの刻印を身に受け魔物たちに追い回されるガッツは、ただ自分の目的のためにだけその巨大な剣をふるう。どれほど懇願されようと、目の前で罪もない人間が首を刎ねられようと手をださない。自分の身ひとつ守れぬ卑小な者など、守るほどの価値もないと断じているといってもいい。しかし同時に、人間の弱さを嘲る呪詛にも等しい言葉には、まるで己の無力さをこそ罵倒するかのような昏い空洞がある。
ガッツの胸にこのそこなしの穴をあけたのが、どうやら銀髪の麗人・グリフィスらしい。
戦乱で消えた村の死体から生まれたガッツ。生き延びるためには殺すしかなかった呪われた少年に、まるで神に選ばれたかのようにうつくしい青年は彼が生きる意味を教えた。自分のために戦えと。
ガッツにとってはじめて信じられる人間となった、このグリフィスという男が、なんとも魅力的なのだ。
男なら誰もがあこがれる途方もない野心を掲げ、子どものようにまっさらな笑顔と、底の知れぬ謀略家の顔とをあわせ持つ。誰もが心酔してしまうカリスマ性を発揮しながら、見た目の優美さを裏切る容赦のない冷酷さのようなものがグリフィスにはつねにつきまとう。その瞳には、果て無き野望を遂げるためなら、愛する者の命すら運命の神の前に差し出すことをためらわぬ峻烈な覚悟が燃えている。
ただ戦うことのみに生きてきたガッツは、グリフィスから「信頼」という名の絆を与えられ、己が戦う意味を考えはじめる。
当初夢見た妄想なんてなまやさしいほどの、死線をともにする男同士の絆に燃え滾る。グリフィスったら遠慮なく、ガッツに「お前は俺のものだ」とかいうんですもの!心臓に悪い!
しかし、1,2巻の展開を読むだに、ふたりはやがて袂を分かつことになるのだろう。ずっとひとりだったガッツが、ようやく得た仲間さえ失うことになるのだと思えば、短い春の日のような「鷹の団」での日々がいっそうまぶしくせつなく感じられる。
6巻ラストでは、天敵である女隊長・キャスカ(グリフィスが好き)とガッツと崖から落ちて遭難してしまうという、フラグ立ちまくりの展開も。ぎゃー、このふたりどうにかなっちゃうの!?
個人的には荒くれ×騎士押しを捨てていませんが、でも!風邪・遭難・記憶喪失の、お約束三種の神器に目がないもので、昂ぶらずにはいられない。