パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

天国に手が届く

再読。
いつき朔夜一穂ミチを輩出した「小説 Dear+」から、近年立て続けにデビューした新人作家のなかでいちばん好みに合うなと感じていたのが夕映さん。
清々しい山の空気が伝わってくる清潔な文体も、男同士ならではのさっぱりした距離感を保ちながら強い信頼で結ばれた関係性も、読んでいてじつに心地いい。
昨年一年は音沙汰なく過ぎてしまったので、今年こそは新作を届けてほしい。無理して量産する必要はないけど、新人作家だもの。ばりばり書かなきゃ。
BL作家って二作目以降が続かない人が思いのほか多い。才能云々以前にコンスタントに書き続けられるというのが、商業作家としてやっていくうえでの何よりの資質なんだな、と実感する。絶対いいものを持っている人なので、大切に磨いてほしい。