パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

ワールドトリガー 1-2

ある日突然三門市に現れ、人びとを襲いだした「ネイバー(近界民)」と戦うべく設立された組織「ボーダー」。
ボーダーの一員である修と、彼が出会ったネイバーの少年・遊真を中心としたSF群像劇。アナーキーな遊真と、「面倒見の鬼(遊真談)」である修のコンビがいい。互いに戦うべき理由を抱えた彼らは仲間を得て、隊員としてのレベルアップを図っていく。
キャラクターのエモーションがドラマを引っ張るいまのジャンプにおいて、あえて感情表現を抑制した演出は異色ともいえる。しかし、台詞のはしばしに感じられるユーモアや、パワーより戦略で勝利を目指す戦闘シーンにはたしかに光るものがある。なんとなく藤子不二雄作品に通じる空気を感じるのは、私だけだろうか。
とくに小生意気なお子さま陽太郎と、カピバラ雷電丸のコンビの可愛さにはただなぬものがある。