パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

浄化系彼氏

オメガバースプロジェクト掲載作。
Ωを理由に恋人に捨てられた万代は、お人好しのβのサラリーマン・長岡の家に転がり込む。腹いせに身体をつかってたらしこんでやろうという目論見どおり、あっけなく万代は長岡をたらしこむ。しかし、元彼とはちがって誠実そのものの長岡に、万代はうしろめたさを覚えるようになる。
オメガバースプロジェクトも、はじめは目新しさから手当たり次第に読んでいたのだけど、だんだんと「これ、べつにオメガバースじゃなくてよくない…?」と思ってしまう作品がふえてきた気が。
正直この本も、DTリーマン×ひねくれビッチの現代ものBLだとしても、何も違和感ないもんな…Ωだから捨てられたの「Ω」を「男」に変換するだけですんなり読めてしまう。もちろん、αみたいなスーパー攻め様よりβっぽいヘタレ攻めの方が好きな人もたくさんいるだろうから、あえてそこを攻めた目の付け所は悪くないとは思うんだけど…居酒屋店長がαの世界に階級差なんてあってなかろうという気持ちにもなる。
オメガバースってファンタジーや階級差ロマンスと親和性高そうなのに、一般誌掲載のBLと同じで、やっぱりその手の特殊設定ものって少ないんだよなぁ。
都合のいい記号として使うだけではなく、世界観の一部にオメガバースが取り入れられているような作品が読みたいんだけどな。