パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

海賊王の死

いやあもう、待ちわびたかいがあったな〜〜〜〜!!!というおもしろさ。
かなり分厚いのに、一気に読み終えてしまった。
別れから2年を経て、ジェイクと再会したアドリアン。ガイとの関係は順調なはずなのに、アドリアンの心はかき乱される。
時を経てあらためて知らされるジェイクの不実、互いの価値観のちがい、そしていえなかったほんとうの気持ち。こんなに想いあってるのに、なんでかみ合わないんだ〜!!と、のたうちまわりながら読んだ。
ジェイクはほんとうにけしからんやつなんだけど、彼の気持ちもわかるんだよね…。ジェイクのなかでは、同性愛なんてありえないこと。それはきっと、これまでの人生のなかで強固に刷り込まれてきたことで、アドリアンとともに生きる選択肢そのものが消去されている。だから、ジェイクの提案は、彼のなかで最大限に譲歩したものなんだろうけど、アドリアンにとっては理解できないものでしかない。
ひとが分かり合うということは、寄り添いあうということは、なんと困難なことだろうか。アドリアンの抱えるさみしさは、けしてゲイに限ったものではなく、人間だれもが知る孤独だ。
それでもこの4巻は、奇跡としかいいようのない幸運で幕を閉じている。私はもう、号泣して読み終えましたよ、ええ!
だからこそ、5巻がこわい。不幸体質のアドリアンがまた、分の悪い賭けにつっこんでいってしまわないか。あらゆることを白と黒で断ってきたジェイクが、極論から極論へと飛び移ってしまいやしないか。
できれば、この幸福がエバーアフターであることを願いたいのに、またしても震えて待つしかなさそうだ。