パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

お嫁においでよ!

お嫁においでよ! (アイスコミックス)

お嫁においでよ! (アイスコミックス)

スイーツ好き高校生、チワワと●姦、金髪ムコ殿と男のお嫁さん、青あざ流血上等泥沼監禁もの。
ここまで無節操バラエティ豊かに詰め込まれているのもめずらしいし、ほのぼのプラトニックからアホエロ、激痛バイオレンスに至るまで、どれもこれもが面白いという稀有な一冊。
走ることをやめたスプリンターと静かに彼を追いつめる同級生の、軋む夏の日を描いた「心臓複雑骨折」が非常にツボ。弱さや脆さを受け容れられず、勝手な理想の姿ばかり求めて耐え切れずに逃げ出した相手を糾弾する純粋で傲慢で身勝手な熱情に身もだえした。(悪趣味)
内容だけでなく、作家の絵の変遷も見て取れる。寿たらこさんってびっくりするほどくるくる絵柄が変わっているのだけど、どの時期の絵も味があるなあ。

ミルクのお値段

ミルクのお値段 (GUSH mania COMICS)

ミルクのお値段 (GUSH mania COMICS)

「パンくずの道しるべ」が出てきて、「あー!」っとなる。なんとなくうれしい。
おっさん受け率が高くて素敵。
帰る場所を忘れてしまった迷子たちへ、そっと道を教えてくれる「パンくず」みたいな、ささやかではかないやさしさに満ちた物語集。

まほろば恋奇譚―秘恋編―

剛しいらはとにかく多作で、どこから手をつけていいやら迷ってしまう。
何冊か読んで、どうやら歴史ファンタジーや芸道もの(有名な落語シリーズに限らず、技を研鑽し、なにかひとつの道を究める人の物語。職人とか、芸術家とか、聖職者とか。)と相性がいいと気づく。さらにこの本は「主従もの」。稲荷家先生の絵も麗しく、こりゃいいんじゃないかと意気込んで買ってきた。
もし、日本に武家社会が訪れず、平安時代さながらの公家社会が続いていたら?というパラレルジパング。ぶっとんでいるかに思えるこの設定が、めっぽう面白い。帝位継承者として何不自由ない暮らしを享受していた明仁が、血縁に命を狙われ都を追われたことで、徐々に朝廷の独裁状態に疑問を抱き始める。
「秘恋編」「成愛編」の2冊で完結。「成愛編」も買っておいてよかった〜。