パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

硝子の街にて 1-3

窓 WINDOW―硝子の街にて〈1〉 (講談社X文庫―ホワイトハート)

窓 WINDOW―硝子の街にて〈1〉 (講談社X文庫―ホワイトハート)

全22巻という大長編にひるんでいたのだけど、ついに買っちまった!
隣同士の家に生まれ、幼少期をともに過ごしたシドニーとノブ。両親の離婚のため日本に渡ったノブは、二十歳になって再びアメリカへ帰ってきた。
軍を退いて刑事になったシドニー。そして、日本から逃げるようにして渡米したノブ。離れていた時間などなかったかのようにかつての友情を取り戻した二人だが、子犬みたいに無邪気にじゃれあえたのはもう遠い日のことだ。気安いやりとりにふと紛れ込む、互いの知らぬ10年の片鱗。
さまざまな出自と過去を背負った人々が交差するニューヨークで、ノブは自分が何者なのか、そして生まれたときからずっと傍らにいる友人の存在について考え始める。
3巻までのところ、二人の関係は純然たる男同士の友情。傍若無人なようでいつもノブを見守っているシドニーに対してノブはまだまだ自分で手一杯。二人の関係に変化の兆しはまだ見えないけれど、雑言まじりの最小限の言葉だけで通じ合える二人のやりとりには、他の者には入り込めない絆の強さがある。