パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

ダメBL

ダメBL

ダメBL

あ〜おもしろかった!ほかではなかなか読めない萌えばかりで大満足。
ツイッター上であるBL漫画家さんがふとつぶやいた、自分はすごく萌えるのにダメ出しされてしまったネタってありませんか?という一言をきっかけに、ついに一冊の本にまとまったというこの「ダメBL」。
こんなおもしろ企画が実現するなんて、ツイッターの影響力は偉大ですね!
足フェチ、古墳時代、無機物、既婚者の片想い、ムエタイ…等々ニッチな萌えがてんこもり。
でも、何気に「これは読んだことはなかった!」というビックリするほどのネタはなかったんですよね。「不細工特集」なんてアンソロジーが編まれるくらいだし、シニアに片足をつっこんだオヤジ受けからとことん救いのないバッドエンドまで、ほとんど「ダメBL」しか書かないのにも関わらず絶大な支持を受けている木原音瀬のような作家もいる。
たとえどんなにマニアックなテーマであろうと、それを生かすか殺すかはやはり作家の力量なのかな、とも思います。
一方で商業BLが広まる過程で、BLとはこうあるべきという暗黙の了解が生まれていることもまた事実。自分の描きたい萌えと商業BLで求められる萌えとの間に乖離を感じ、BLをお休みした作家さんもいることを思うと、こんなもったいないことはないとはがゆい気持ちだ。
ジャンルが興隆していくうえで、マイナーな作風が淘汰されていくのは必然の流れでしょう。商業で流通させるためにはまず「売れる」ことが絶対条件なのだから。
でも、そのために自分の萌えを犠牲にしてしまっては本末転倒だよな、と思うのです。
おもしろいものはおもしろい。萌えるものは萌える。萌えなんてひとりひとりちがって当然。「私の萌えは他人の萎え」だからこそ、自分にぴったりあてはまる萌えを見つけると、砂漠で見つけたオアシスのように心が踊る。
作家は自分の萌えをとどけるために力を尽くし、読者はどんな萌えも面白がる広い心をもてば、これまで見たこともないような萌えが生まれてきたりするかもしれない。
どうかBLにはフリーダムでアウトローなジャンルであり続けてほしい。
だって、そうじゃなきゃこんなに好きにならなかったもの。