パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

第一倉庫にて

第一倉庫にて ((Babyコミックス))

第一倉庫にて ((Babyコミックス))

謎のガスマスクの男と、第一倉庫で逢瀬を重ねる照は、彼がクラスメイトの光喜だといいとひそかに願っているのだが…。
最近よく見る覆面攻めの一種なんだろうけど、これ、最後まで攻めの正体がわからないままなんですね。描き下ろしで少しフォローが入ったものの、恋の成就ではなく、快楽堕ちで終わっている。ハッピーエンドではないが、かといって暗澹としているわけでもなく。気持ちいいならそれもまたよし。エロも禁忌も、ずいぶんカジュアルになったものだ。
ふゅーじょんのコミックスは、ストーリー性よりも特殊嗜好やネタの奇抜さ、デザインセンスで勝負している。つぎからつぎへと新レーベルが生まれるいま、まず手に取ってもらうためにはこれもひとつのブランディングなんだろうな。
独特の美意識を感じさせる絵が、なんともなまめかしくうつくしい。ちょっと鳩山郁子あたりを思わせる耽美。