パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

メイプルシロップ・パンケーキ

メイプルシロップ・パンケーキ (白泉社花丸文庫)

メイプルシロップ・パンケーキ (白泉社花丸文庫)

おもしろさに寸暇を惜しんで読む。
いい、いい、いい!
ひたむきさゆえに空回る、高校生たちのやるせない想いが溢れんばかりにつまっている。語りかけてくる一人称に「うっ、これはちょっと苦手なパターンかも…」と思ったのもつかのま。歯切れよく、豊かな叙情性に満ちた文章に引き込まれていた。ささいなやりとりだけでうるうるきてしまって。
「恋愛革命」がすっごいよかったので、さっそく海賀卓子さんの既刊を収集。
地味な設定に丁寧に心理描写が織り込まれる、とても好みの作風だ。はっとさせられる表現がたくさんあった。砂原糖子さんや月村奎さんがお好きな方なら、きっとツボるのではないだろうかと思う。かなり手当たり次第に読んできたつもりだったけど、こんな素敵な作家さんを知らなかったなんて!出会いに感謝。