パン屑の道しるべ

読み散らかした本をたどって

ファンシイダンス 1-3

いまのところは、バブル末期のスチャラカ大学生日記。
寺の息子でありながら、持ち前のルックスとあ・かるーい(明るいとカルいをかけた造語)性格でバンドマンとして鳴らしている陽平の、ままならぬ恋とハイセンスな仲間たちとのすっとぼけたやりとりがゆるっと続いている。
抜群のセンスの良さで、バブル末期の酔狂なお祭り騒ぎと倦怠感が活写されている…のかな、なんて思ってみたりもするが、生まれてこのかた不況だったことしかない自分にはぴんとこない世界である。
コメディはどうしても、リアルタイムで楽しまないとキビシイところがあるな。流行りの作品ならなおさらだ。「最先端」の多くは、時間の渦に呑まれて忘れ去られてしまい、パロディの元ネタを探るにも一苦労することになる。
岡野玲子のイギリス人並みにひねりの効いたジョークセンスに、時間というスパイスが加わって、いっそうひねくれた味わいのコメディへと練成されている。うーん、手ごわい。